13歳少女と駆け落ち
13歳少女と駆け落ち、最終弁論は「特にないです」1月22日、新聞の全面広告に裁判員制度の宣伝が載ってたんだけど、どれだけの人が見たんでしょうか。今どき裁判員制度の宣伝自体は珍しくないんだけど、今回の全面広告にはすごい情報が載ってたんですよ。
これは、裁判員の1日のスケジュール。裁判所に呼ばれたとき、どんな1日になるのかと。それで初めて知ったんだけど、呼ばれた人は午前9時半に行かなきゃならないのね。これは知らなかった。裁判員候補者を30~100人呼んで面接するんだから、もっと早い時間に呼び出されるんじゃないかと思ってたんだけどね。世の中知らないことがいっぱいだ。
さて、今回は1月21日に行われた冨永篤史被告人(24)の裁判の話。罪名は未成年者誘拐。24歳の青年が13歳の中学生と駆け落ちした、という事件。
新聞報道によると、07年8月、住所不定無職の冨永篤史が、兵庫県明石市のJR明石駅で中学2年生の女子生徒(13)に対し、「遠くへ逃げよう」と少女を誘って連れ出した。9月7日午後10時頃、新宿区歌舞伎町のゲームセンターにいたところを、見回り中の新宿署員が発見し少女は保護された。
冨永と少女は8月上旬に友人を通じて知り合って交際を始めたが、少女の両親に反対されていたという。8月26日に夜行バスで東京に来て、漫画喫茶や公園で生活し、逮捕時の冨永の所持金は数百円だった。逮捕時に冨永は容疑を認めた上で、「彼女の親が心配しているとは思ったけれど、連絡すると別れさせられる。東京に来て2人で死のうと思ったが、最終的には自分が働いて暮らそうと思った」などと話した。
この事件はどれくらい話題になったのかと思って、パソコンで検索したんだけど、あまり出てきませんでしたね。よく見ると、被告人の苗字が微妙に間違って報じられていたからなんだけど。ここでは正しく“冨永”被告人で。
初公判は去年の11月22日。この日は仕事の都合で山形地裁へ行っていたので、傍聴できず。検察官の冒頭陳述を聞いていないので、事件の詳細や認否などは分からないんだけど、その後の公判内容から判断するに、被告人は罪を認めて、弁護人が(他人を自己の実力支配内に置き、その居所を移されるという意味で)誘拐には当たらないと無罪主張をしているようです。
第2回公判は去年の12月27日。この日、弁護人が冒頭陳述を行ったので、事件の詳細が明らかになりました。
弁護人の冒頭陳述によると、被告人と被害者が知り合ったのは、去年の7月下旬。被告人が男友達と明石公園で待ち合わせをした際、一緒に3人の女子がいて、その中に被害者がいたのが出会いのキッカケ。3日後には猫好きの被害者は被告人の飼っている猫を見るために、被告人宅を訪れ親しくなってゆく。そして、8月7日。被告人と被害者は、被害者の友人の兄からゲームセンターに呼び出される。指定された場所に行くと、十数人の男たちに囲まれ、被害者と別れるように説得される。この場には被害者の親もあり、被害者を連れて家に帰った。すると、被告人は囲まれた男たちに殴る蹴るの暴行を受け、全治3週間のケガを負う。
被告人は「中学生と付き合った自分に非がある」と反省していたが、暴行事件の6日後に被害者から「自分のせいでこんなことに」と謝罪の電話があり、交際を再開する。
しかし、8月22日。2人の交際が発覚する。また呼び出しを受けた被告人は「2人で一緒にいられるのは今夜が最後」と思い、ちょっと離れた神戸駅へ。被告人は被害者に明石へ帰るように言ったが「帰らない。一緒にいたい」と言い張り、神戸、三宮辺りで一緒に過ごす。8月24日に神戸駅で東京行きの夜行バスの切符を購入。東京に着いた2人は、漫画喫茶で寝泊りすることもあったが、昼間はデパート屋上のベンチで被告人が睡眠を取り、夜は公園で被害者が睡眠を取るという生活だったとのこと。
そして、被害者の親が捜索願を提出した9月7日。偶然にも、この日歌舞伎町のゲームセンターにいた2人は職務質問を受け、被告人が逮捕された。
これが、駆け落ちのてん末のようです。交際を両親に断られたのは事実なんだけど、被害者の友人の兄からの暴行を恐れて、東京へ逃げ出した感じですね。検察官も、被害者を殴った人のことを“グループ”と呼ぶだけなので、何者なのかはよくわからないんだけどね。
ついでに言えば、被害者の親が捜索願を出すのが遅い気が…。兵庫を離れて2週間後ですからね。よくわからないことが多い事件です。
注目の被告人質問。まずは弁護人から。
弁護人 「被害者とされるユキさん(裁判では実名でしたが匿名で)と最初に会ったのは?」
被告人 「明石公園の図書館です」
弁護人 「あなたの友人、ユキさんの友人の5人で会ったんですね。何をしていたんですか?」
被告人 「雑談です。みんなで、親の話とか」
弁護人 「具体的にはどんなことを話していたんですか?」
被告人 「手をあげる親もいれば、家出をしても探さない親もいるとか。ユキは(家出しても)探された事がない、と」
弁護人 「ユキさんを意識し出したのは?」
被告人 「会って3日くらいです。親から暴力を受けているというので、自分と一緒だな、と」
互いに似たような境遇で親に対する不満や悩みを話すうちに親しくなっていったらしい。
弁護人 「連絡はどうしていました?」
被告人 「向こうはケータイを持っていないので、仕事が終る時間を伝えてました。それで向こうから電話が来る、と」
無職と報じられていたけれど、地元ではちゃんと仕事をしていたようです。
弁護人 「8月7日の傷害事件のことを聞きますね。ゲームセンターに呼ばれたのはなぜですか?」
被告人 「僕とユキが一緒にいるのが問題になっていて、ユキの親が捜している、と。来るまで待っとけ、と」
弁護人 「指定された場所で待っていたら、誰が来ました?」
被告人 「ユキの友達の兄と、見たことのない人が十数人…」
弁護人 「それで?」
被告人 「ユキの年齢を知っているのか、とか…」
弁護人 「そして、ユキさんの母親が迎えに来たんですよね。何て言われました?」
被告人 「同年代の娘を探しなさい、これを機にあきらめなさい、と」
24歳の男と13歳の娘の交際は許さない、と。親としても社会人としても当然でしょう。でも、解せないのはこの後。
弁護人 「ユキさんが車に乗っていった後、残っていた人に殴られたんですよね」
被告人 「顔を殴られ、突き飛ばされ、コンクリートにたたきつけられたところで蹴られました。人数的にどうしようもなかったので逃げたんですが、車に押し込められ、首をしめられて落とされました」
弁護人 「気が付いたときは?」
被告人 「人気のない林。そこで殴る蹴るの暴行を受けました」
そこにパトカーが偶然通りかかり、被告人は助けを求めたとのこと。それにしても、なんでここまで殴られなきゃいけなかったんでしょう。人間関係がハッキリしないんで不思議なんだよなぁ。
弁護人 「そのあとユキさんから電話があって、交際を再開しましたけど、ためらいは?」
被告人 「最初はありましたけど、暴行事件の後も向こうから来てくれて絆が強くなったというか」
弁護人 「再交際がばれてどうなりました?」
被告人 「暴行受けた人にゲームセンターに呼ばれました。そして、“明日ユキの親を呼ぶからもう1度来い”と」
弁護人 「それについてはユキさんと話しました?」
被告人 「ゲーセンに行けば、また殴られるんじゃないかと。明日行けばもう会えなくなるんじゃないかな、と」
弁護人 「それで逃げよう、と」
被告人 「明石駅付近から離れよう、と。ユキが神戸までの定期券を持っていたので、神戸駅に」
定期券とかケータイを持っていないとか言うたびに、改めて被害者が中学生なんだなと思い知らされます。
弁護人 「神戸ではどんな話をしました?」
被告人 「ここで逃げれば交際を認めてもらえないけど、戻れば殴られるし。これ以上、ことを大きくしたくなかったので“ユキは帰れ!”と。すると、“帰りたくない。帰るくらいなら死んだ方がマシ…”と」
何度も説得したものの被害者は帰らず、被告人にも一緒にいたいという思いもあり、夜行バスで東京へ。
弁護人 「上京したとき、所持金は?」
被告人 「5000円持ってるかどうか」
弁護人 「それでどうするつもりでした?」
被告人 「深くは考えなかったです。死んでしまうんじゃないかな、とか」
弁護人 「心中をするつもりだったんですか?」
被告人 「いや。(このままでは)死んでしまうんじゃと思ってただけです」
弁護人 「ユキさんは(所持金が少ないことに)何か言ってましたか?」
被告人 「死ぬなら死んでもいいって」
無鉄砲な逃避行に酔っちゃってるような気が。最後は反省に関して。
弁護人 「今後は?」
被告人 「行動を起す前によく考えたいです」
弁護人 「ユキさんとは?」
被告人 「好きという気持ちはあるんですけど、互いのためにならないので2度と会わないと思います」
決別宣言です。てっきり、被害者が年齢的に大丈夫になったら付き合いを再開するのかと思ったんだけどね。そこまで決意ある駆け落ちじゃなかったってことなのかな。
この後、検察官は事件そのものよりも被害者の幼さを改めて確認させるような質問をしていました。
最後は裁判官から。
裁判官 「相手が成人なら誘拐にならないんですが、中学生ですからねぇ」
被告人 「話していても幼い部分もありましたが、1人の女性として見ていました」
裁判官 「13歳ですから、判断能力は大人に比べて下ですよね。判断もあなたにゆだねることになりますよね」
被告人 「はい」
裁判官 「うーーーん、何かの罪に問われるんじゃないかと思ってたんじゃないですか?」
被告人 「…はい」
恋愛関係を認めた上で、事実上支配下にあったでしょということでしょうか。被告人が認めているからいいんだけど、支配してたと思ってたのかね。被告人も幼いから、13歳の少女と同等に付き合えてたんじゃないかという考え方もあるけどね。
そして、先週の1月24日。論告・弁論です。検察官は、被告人が現金を管理し、移動方法や移動先を決定しており、支配下に置いていたこと、被害者の親の精神的苦痛が重大であること、被害者の育成に悪影響を与えたこと、などを述べて、懲役1年6月を求刑しました。
これに対し弁護人は、被害者が“一緒に行きたい”と懇願したもので、駆け落ちに過ぎないこと、被害者はなんとなくついていったのではなく中学2年生なりに自分で決断した事などを理由に、誘拐行為には当たらないと主張していました。
最後は被告人の最終陳述です。
裁判官 「これで審理を終えますが、何か言っておきたいことはありますか?」
被告人 「特にないです」
洗いざらいしゃべっているし、今まで言ってないことを付け加える場なんで「特にないです」はよくある光景なんです。反省の弁を述べないからといって、心証が悪くなることはないと思われます。でも、弁護人は勢いよく立ち上がって、
弁護人 「“特にないです”ではなく、きちんと話してください!」
ここで弁護人が介入してくるのは異例です。「何か言え」とハッパをかけると、
被告人 「こういうことになってしまって後悔してますんで。これからは、ちゃんとしていこうと思ってます!」
と述べて閉廷。
刑法に照らし合わせてどうなのかはわからないけど、常識的に考えてどうなのよ。24歳の成人男性が13歳の少女と付き合うってのは。人を愛するのに年齢は関係ないって言われればそれまでだけどさ。
百歩譲って年齢は関係ないとしても、お金も仕事もなく上京したら、好きな人に迷惑がかかるのに。無計画だなぁ。24歳なら、本当に好きだけど相手が13歳、何とか恋愛を成就させるにはどうすればいいか、考えればいいと思うけど。相手が大人になるまで待つとか。5000円持って駆け落ちはないよな。
nikkansportsから
まぁ、そんな幼い人多いんだよっ。しかも最近の小中学生はませているしねぇ。でも。これ殴られたりしているのはどうなのっ。