成田・貨物機炎上
強風をついて降下してきた機体は、滑走路でバウンドし、横転すると同時に炎と黒煙に包まれた。23日早朝、千葉県成田市の成田空港A滑走路で定期貨物便フェデックス80便が着陸に失敗した。死亡した米国人乗員の機長と副操縦士は、コックピットに座ったまま心肺停止状態で見つかった。地元気象台は風の乱れについての警戒情報を出していた。1978年の開港以来初めての航空機による死亡事故に、キャンセル便が相次ぐなど、空港は大混乱した。
「フェデックス便、着陸失敗、滑走路上にて延焼中」
成田市消防本部に緊迫した119番通報があったのは、午前6時49分。同本部や周辺自治体から直ちに消防車や救急車、救助工作車など30台以上が急行した。
着陸に失敗した機体は、完全に逆さまになって炎上した。機体は、主脚がある中央部付近で折れ、エンジンは真っ黒に焦げ、後部も焼けて骨組みがむき出しに。機体の周りには、翼の一部が散乱していた。
現場に駆けつけた日本医科大学成田空港クリニックの当直医、苛原隆之医師(33)によると、乗員2人は、逆さまになった機体のコックピットの操縦席に、座ったままぶら下がった状態だったという。顔や手足が黒くこげた状態だった。すでに心肺停止状態で、搬送先の成田市の成田赤十字病院で死亡が確認された。
成田空港5階のレストランに勤めるウエートレスの女性(60)は、出勤直後、地震のような地響きと「ドン」という音を聞いた。別の従業員の「貨物機が燃えている」との叫び声で外を見ると、貨物機が黒煙を上げていた。煙は強い風に揺れ、機体全体を包んでいた。女性は「目の前でこんな事故が起こるなんて」と声を震わせた。
この事故で成田空港の2本の滑走路のうち1本が閉鎖された影響で、23日午後1時現在、日本航空、全日空の2社は、パリ、ニューヨーク、ロンドン行きなど同空港で発着する計40便の欠航を決めた。影響人数は約8500人に上る。ほかに羽田、札幌などへの目的地変更が13便になる見込み。
成田国際空港会社広報室によると、閉鎖された「A滑走路」の方が距離が長く、この滑走路の閉鎖でジャンボ機の発着ができなくなっているという。両社以外の外国航空会社にも大幅な乱れが出るとみられる。
空港ロビーも混乱した。
パリ行きの旅客機に乗る予定だった愛知県豊明市の会社員西山茂さん(55)は「レストランから炎上した後の機体が見えたが、丸焦げでひと目では何だか分からないほどだった。相当激しく燃えたのだろう。仕事でパリに行く予定だが、出発時間が未定のままだ」と困り果てた様子だった。
留学先の米・ニュージャージー州に戻る予定だった斎藤亜美さん(14)は「もう出発していたはずの時間なのに。詳しい情報を何も聞かされない。これから飛行機に乗るのが不安」と表情を曇らせた。
(2009年3月23日15時59分 読売新聞)
どうしようもなかったんでしょうかねぇ
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